君についた10のウソ

「…聞きたいこと?」


「ああ、俺が本木のこと忘れる前のこと」



その言葉にあたしと透くんは目を合わせて驚いた顔をする。


内心、あたしの心はドキドキで。


だって、だって……


優があたしのことを忘れる前の話だよ?


ほんのちょっとでも、思い出してくれたのかもしれない。



「俺って……彼女、いたのか?」



ただでさえドキドキしていた心臓が、破裂してしまうんじゃないかと思うくらいに激しく暴れだす。



「ときどき頭に浮かぶんだよ。ポニーテールの制服を着た女の子が……なんか、忘れてる気がするんだよ」



“ポニーテール”


あたしの今の髪型は“ボブ”だ。


入学当初はポニーテールだったけど、朝しばるのがめんどうで。


中学生のころは新体操をしていたから我慢していたけど、高校では部活に入らなかったから思い切ってバッサリいったんだ。



優の言う“ポニーテールの女の子”があたしの可能性もある。


でもそんな子はどこにでもいるから。


……絶対にあたしだとは限らない。