君についた10のウソ

「本木……このプリント見てたらだんだんやりたくなってこないか?」


「まったくならないよ」


「じゃあお菓子買ってやるからさ、な?」


「お菓子くらい自分で買うよ」



次第に涙目になっていく優がかわいそうになってくる。


はぁ…まったく……



「教えてあげるから頑張ろうよ」


「教えてくれるならやってくれても…」


「教えないよ?いいの?」


「それは嫌だ!やる!やるから教えて!!」



必死な優にこみあげてくる笑い。


こういうところは変わってないんだなぁ。



「じゃあとりあえず1枚解いてみてよ」


「ほぼほぼ間違えると思うけどいいのか?」


「だいたい予想はついてるからもうなんでもいいよ」



あたしが教えてくれると分かったからかふんふんと鼻歌を歌いながら机に向かう優。


時折うーんと声を漏らしながらもまじめに解いているみたいであたしと透くんは静かにそれを見守る。



「沙耶ちゃん」


「どうしたの?透くん」



数分たつと見ていることに飽きたのか透くんが話しかけてきた。


もちろん優の集中力をそがないために小声で話しているけど。



「良かったねって思って」


「うん。すごく楽しい」



顔が自然とほころんでしまう。