君についた10のウソ

クリアファイルから取り出したプリントをペラペラとめくっている優。



「……18…19…20………」


「優、が・ん・ば・れ!」


「透黙れ。てか多すぎだろこれ…」



嘆く優に思った通りの反応だなぁと笑みがこぼれる。



「退院火曜日だよね?」


「…その予定」


「じゃあ火曜日までに終わらせないとね」


「うげぇ……」



優はそのまま机に突っ伏してしまう。


ただ英語を書けばいいだけなのにそんなに嫌なのかな?


国語の課題より幾倍も楽ちんなのに。



「透は…使えないな。俺以下の英語能力、ただのカス」


「ちょっとちょっと!俺の英語能力は優より上だからね!?」


「テストで一回も俺に勝ったことねーだろ」


「う……それは、まぁ…」



情けない現実をつきつけられて落ち込んでいる透くん。


透くんも英語が苦手。他の教科もそこまでよくはないけど…



「本木は?英語できるのか?」


「優と透くんよりはできるよ」



そう言うと優の目はキラキラと輝きだす。


あ、これは……


たぶん…あたしにやらせようとしてる。



前も何回かこんなことがあって。


そのたびにあたしはやってくれと頼まれたけど一切やらなかった。


だって優がやらなきゃ意味がないもん。