君についた10のウソ




「脳に特に外傷は見当たりませんが…事故のときに頭を強く打っているのでそれが原因かもしれません」



優の目が覚めたあと、優は軽く検査を受けてまた眠ってしまった。


そんな優を見ているのも辛くて廊下へ出るとちょうど先生がいて。


あたしも一緒に話を聞くことになった。



「記憶は戻るんですよね…?」


「今のところはなんとも言えません。一時的なものかもしれないですし、死ぬまで忘れたままになってしまうかもしれないです」


「そんな……」



淡々と述べる先生が悪魔に見える。


言葉を失っているおばさんのあたしを見つめる目も、おじさんと穂南さんの心配そうな目も。



「…先生。ひとつ、聞きたいことがあります」



自分で発した声が、機械のように冷たく感じられて。


乾いた声がしんみりとした廊下に響きわたる。



「優に、本当のことを言ってもいいんですか…?」



あたしとの関係とか、ほかにもたくさん。



「本当のことを言って、それが吉とでるか凶とでるか…優くんの性格も考慮して考えてみてください。言うか言わないかは自由です」