君についた10のウソ

優はゴソゴソと袋の中をあさっていて。


自分の好きなものに関しては目がない優の頬はたるんたるんに緩んでいる。



ふふっ


こういうところ、好きなんだよね。


ときどき見せる子どもっぽいところとか、なんか可愛いって思える。



あたしが幸せにひたっているとビニール袋のガサガサという音が止まった。



「…なんか話そうぜ」


「へ……?」


「いや、俺、お前のことなんも知らねーし。お前、いいやつそうだから…」



恥ずかしそうに目を泳がせているけど、どこか優しい優の声に泣きたくなってしまう。



周りからしたら小さなことだけど。


あたしにとっては大きなことなんだ。


とってもとっても大きなこと。



「…なにが知りたいの?」


「なにがって…んーそうだな、家族構成とか好きな食べ物とか?」


「なんかありきたりだね」


「うっせ。これくらいしか思いつかないんだよ」



優と、普通にしゃべれてる。


内容は初めて会った人たちだけど、前みたいにしゃべれてる。



優にバレないように、心の中で嬉しさを飲み込んだ。



「あたしはひとりっ子。好きな食べ物はフルーツ全般かな?」


「へーそうなんだ」


「他には?」



もっと話したくて、自分から質問を求めてしまう。