君についた10のウソ

「………うん。ごめん」



あたしが頷くと北山くんはふわっと笑った。


…ああ、いつもの優しい北山くんだ。



「俺もちゃんといるからな」


「…ありがとう」



現実と向き合うのなら。


優とまた、最初から始めればいい。



中学校で出会ったときのように。


たくさん楽しい話して。

たくさんバカなことをして。


そこから再スタートを切ろう。



「頑張るから、諦めそうになったら怒ってね」


「当たり前!ほら、そろそろ優んとこ行けば?」


「うん、そうするよ。じゃあまた明日」


「おう。またな」



さよならをして、それぞれ反対方向へ歩き出す。



北山くんに“逃げるな”って言われて、なにかが吹っ切れた気がする。


今の今まで、心のどこかでまだ決心できていなかったのかもしれない。



優がどんな人生を歩んでも。

どんな道を選んでも。


それは優自身のものだからね。


優が決めたことなら、あたしは全部受け入れるよ。


ちゃんと受け止める。


たとえそれがあたしにとって悪いことでも。


目をそらさないから。