君についた10のウソ

…違う。本当は違うの。


優に気づかれたらいけないのもそうだけど…


怖かっただけ。恐れてただけ。


優の、優本人の口から“ただのクラスメイト”って言われるのが悲しくて。



…やっぱりあたしは弱い人間だ。

嫌になるくらい弱くて脆い。



「おい!本木!!」



ガシッと腕をつかまれる。



「離して…!離してよ!!」


「絶対離さない」


「なんでよ……!?」



北山くんだって、逃げ出したいくらい辛いときがあるでしょ…?


なんで?あたしは逃げちゃいけないの?


ねぇなんで?教えてよ。


あたしだけが忘れられた理由も、全部全部……教えてよ…



「本木。お前が決めたんだろ」



いつもよりも低い声にびくりとする。



「お前がこうするって決めたんだろ」


「だけど……っ」


「さっきのことは俺たちが悪い。でもな、お前が逃げてどうする」


「…………」


「お前が逃げ出したら、そこで終わりだ」



真剣すぎる眼差しに、なにも言えなくなってしまう。



「弱音吐いたって、泣いたって、なにしたっていい。ただ、逃げることだけはやめろ。現実と向き合え」