君についた10のウソ

「…………いってまじなのか?」



病室の前まで戻るとちょうど聞こえてきた。中はシーンとしている。


なに話してるの…?


そっと耳を立てて盗み聞きする。



「まじ。綺麗さっぱり」


「…それはさすがにひどくねーか?」


「は?なんで?」


「だってあいつ、お前の……」


「おい!それはダメだろ」



今の声は……北山くん?


なにがダメなの?



「……でもよ…」



北山くんじゃない人は我慢ならないといったような声をだしていて。


なんだか嫌な予感がする。



「お前らさっきからなんの話?本木はただのクラスメイト。それ以外になんかあんの?」



優の口から出た言葉に心臓が大きく波打つ。


……やめて、やめて………


……分かってるから。ちゃんと分かってるから。


お願い……やめて…


息ができないほどの苦しみが湧いてきて、荷物を無造作に床に置いてしゃがみこむ。


助けてと心が叫んでいる。



「じゃーな。またくるから」



いつの間に話が終わったのかガラガラとドアが開かれる。


マズい…!このままだとバレちゃう。


そう思って立ち上がろうと顔をあげると目の前の人の目があたしをとらえた。


徐々に大きくなっていく目。