君についた10のウソ




「「「あははははは」」」

「舌いてーよ!!」

「まじお前最高」



優の病室の前。あたしの耳に入ってくるのは朝話していたクラスの男子の声で。


……さすがにこの中には入れないよね。



たぶんカラシ?ワサビ?入りシュークリームをあげたんだろう。


久しぶりに聞いた。優の元気なこの声。


事故に遭う前までは毎日のようにバカなことして、いろんなことして騒いで、笑顔が絶えなかった。



……あたしが壊したんだよね。



ううん。ダメ。


こんなこと思っちゃダメ。



笑って生きていくって決めたじゃん。


こんなこと思ってたらまた笑えなくなる。


みんなに心配かける。



楽しいときは笑え。

悲しいときも笑え。

無理してでもいいから笑え。



あたしが暗くなったらみんなも暗くなっちゃう。


笑っていれば。

いつもどんなときも笑えば。


また前みたいに過ごせるようになる。


優にとっても、クラスのみんなにとってもそれが一番いいんだ。


あたしが犠牲になればみんなが幸せに生活できる。



「よし…売店行こう……」



あたしのつぶやきは誰かにも拾われることもなく、廊下に落ちていった。