「優……!?」



重々しい雰囲気の中、静寂を切り裂くかのように上がった声。


それに合わせて優を食い入るように見るみんな。


発生源は優の手を握っている優のお母さん…おばさんで。



「今っ今、優の手が動いたのよ……!!」


「…ドラマでよくあるじゃん。それは目が覚めたわけじゃないって……」



“優の手が動いた”



ほんの微かな希望を一刀両断する優のお姉ちゃん…穂南さん。


一瞬光を取り戻したみんなの目は、もう真っ黒に染まっていた。



「ごめんなさい…あたしのせいで……」



堪えきれずに声をだす。



あたしさえいなければ…


優は、こんな目には遭わなかったのに…



「沙耶ちゃんのせいじゃないよ…大丈夫。沙耶ちゃんは悪くない…」


「…そうよ?沙耶ちゃんは気にしなくていいの」


「沙耶ちゃん、自分を責めないでくれ。…このバカ息子……!!さっさと目を覚ましてくれよ…」



穂南さん、おばさん、おじさんがそう言ってくれるけど。


みんな、泣きそうな顔してる……