君についた10のウソ

「え……全部消えてんじゃん…」


「……事故のときにカバンが飛んで、その拍子に壊れちゃったって」


「うっわ…まじかよ……」



あからさまにうなだれる優。



ごめんね。


大切な写真もあったよね。

中学の友達との写真もあったよね。


ちゃんと。ちゃんとデータはとっておいたけど。


優が思い出すまでは渡せません。



「じゃあさ、今から写真とろーぜ」


「え……?」


「最初の写真はこの四人で!いいだろ?」


「お、いいな!そうしよう」


「そうね。沙耶は?」


「う、うん。いいと思う」



いいと思うよ。いいと……思う。


でもなんで……


優、本当は頭の片隅であたしのこと覚えてる?


だって……



『最初の写真は俺ら二人で!いいだろ?』



ロックナンバーを設定しあったとき、そう言ったよね……?



「みんなちゃんと笑おう」


「とびっきりの笑顔でね」


「そうだな。それじゃあいくぞ。はいチーズ!」



カシャッと音がなってシャッターがきられた。



ーーー眩しいフラッシュは未来への希望の光。