君についた10のウソ

廊下から他のクラスの人たちの笑い声が微かに聞こえる。



「言わないでって、沙耶ちゃんはどうするの……?」


「……今、あたしと優は友達です。こんなこと、頼むことじゃないって分かってます。分かってるけど、お願いします!あたしに協力してください……!!」



ギュッと目をつむって勢いよく頭をさげる。


分かってください。お願いだから…



「あたしからもお願い」


「俺からも」



ガタッと音がして顔をあげると梓と透くんが立ち上がって頭を下げていた。



「お願いします……!!」



二人の行動に涙が溢れそうになるのを堪えながらあたしももう一度頭を下げる。



「俺は、協力するよ」

「わたしも」

「みんながするなら俺だって…」



ポツリ、ポツリと声がして。


ひとり、ふたりと立ち上がる人が増えていく。



「みんな……」



いつの間にかクラスみんなが立っていて、目頭があつくなる。



「最後は俺だな」


「先生も……」



ぽっかりと穴があいていた心が少しだけ暖かくなった気がする。



「ありがとう……っ」



クラスのみんな。先生も。


本当に……ありがとう。