君についた10のウソ




「本木。頼んだぞ」


「はい」



石ちゃんに帰りのHRで優のことについて話すようにと頼まれて、ちょうどこれから話すところ。



クラスのみんなにも、ちゃんと話さないといけないんだよね……


不安だなぁ……



優も透くん同様、女子からの人気がけっこう高い。


だから、あたしが今彼女じゃないと知って行動を起こす人もいると思う。



「スゥ……」



黒板の前に立って深呼吸をする。


みんながあたしを見つめている。



「……一昨日の帰り道、あたしと優は事故に遭いました。でも事故に遭う瞬間、優があたしのことを突き飛ばして……優だけが車にひかれました」



あたしたちに当てられた車のライト。

あたしの体を押した優の手の感触。


すべてが鮮明に思い出される。



「優のおかげであたしは無傷でした。その代わり、優は一時的に意識を失っていつ起きるか分からない状態でした」



ちゃんと話そうと思っても。


……どうしても声が震えてしまう。