君についた10のウソ

「俺が好きなのは、お前だけ、だから」



優は嬉しい言葉をくれるけど。


桃菜ちゃんとキスをしたことの報復として。


ちょっとばかりからかってみてもいいかな。



「……ふーん」


「おまっ、人が頑張って言ったのにその反応はないだろ!?」



逆ギレ優もいいかもなぁ。なんて。



「ちょっとからかっただけだよ。ありがとうね。優」



顔を見るとキスしたいな、と思ってしまう。


なんか、分かった気がする。


あたしは優のことが好きじゃないのかも。



「ねぇ優、あたしは優のこと好きじゃないよ?」


「待って。え、それって、は?」


「だから、優のことが好きじゃないの」


「……なんの冗談?」



そう聞く優の声は震えていて。


バカだなぁ、とあたしは笑ってしまう。



「好きじゃないとは言ったけど、嫌いとは言ってないじゃん」


「……じゃあなに?」


「分からない?あたしは優のこと、愛してるんだよ」



もう“好き”じゃ抑えきれない。


その二文字じゃ表しきれない。



「ねぇ、優は?」



固まってしまった優に顔を近づけて下から覗き込む。



「ゆーうー?生きてる?」


「……生きてる」


「じゃあ答えてよ。あたしは優を愛してる。優はどう?」



これで優が愛してるって言ってくれなきゃ、あたしはきっと壊れちゃう。


忘れられることよりも心にくる。



「……愛してる。もう、絶対忘れない。二度と離してやんないから」


「離されたら大山になれないから離さないでください」


「……マジお前黙れよ」



そう言って、優はあたしにキスをした。