君についた10のウソ

冬なのに暑くなってしまったあたしはパタパタと手で顔を仰ぐ。


うぅぅ……結婚だなんて………



「なぁ。沙耶と話したいからちょっと二人にして」



さっきまでの空気とは一変して真面目な顔をした優がそう言った。



「はいはい。邪魔者は消えまーす」


「じゃあね沙耶ちゃん」


「沙耶ちゃん。大山になってくれると信じてるよ」



…悪いよ……


せっかく目を覚ましたばかりなのに、おばさんたちにそんなこと……


そう思っていたのに、なにも気にせずにおばさんたちはぞろぞろと出て行ってしまった。


しかもおじさん、さりげなくなんか言ってたよね。



ふたりきりになって沈黙が続く病室。



「…沙耶、悪かったな……」


「優は悪くなんか……」


「いや、俺が悪い。俺が弱かったから……」



泣きそうな顔をして自分を責める優。


優は悪くないよ。弱くないよ。


だって、だって……



「優はあたしのことを守ってくれたんでしょ?」


「だけど……」


「……それだけで、もういいよ」


「……でもやっぱり、俺は沙耶を苦しめたから………」



優はそう言ってもなお、自分を責め続ける。