君についた10のウソ

「……とりあえず、先に先生よ!!」


「あ、あぁそうだな」



おばさんとおじさんの焦る声が聞こえて、これは現実なんだとやっと実感する。


数分後、涙が止まらないうちに先生はやってきて。



「大丈夫ですね。今日は一日入院して、退院は明日にしましょう」



喜ぶあたしたちに、先生はそう告げた。



「良かったわぁ……」


「ほんとだよ」


「これで沙耶ちゃん計画の危機は逃れたね」



ホッとするおばさんたち。


ひとつ気になるんだけど、沙耶ちゃん計画ってなに……?



「沙耶ちゃん計画ってなんですか……?」


「沙耶ちゃん知りたいの〜?」



ニヤニヤ顔でそう言う穂南さんに嫌な予感しかしない。


聞かないほうがいいのかな……?



「沙耶ちゃん計画っていうのはね、将来的に、沙耶ちゃんの名前を大山沙耶にしようって計画よ!!」



華麗なウインクつきで言った穂南さんに、呆然とするあたし。


大山沙耶…


おおやまさや…


オオヤマサヤ…



「それって、けけけけけ、結婚ってことじゃないですか……!!」



あたしの頬が熱を持つ。


け、けっきょん!?



「あはは。沙耶ちゃん顔真っ赤。噛みすぎ。かわい〜!!」


「おい。沙耶に可愛いって言っていいのは俺だけなんだよ」


「あら優。心が狭い男は嫌われるわよ?」


「……母さんは黙ってろよ」