君についた10のウソ

「ゆっ……優ぅ……!」


「お、泣いた泣いた」


「優のばかぁ……うぅぅ………っ」


「お前のほうがバカだアホ」



あたしの頭を胸に寄せて頭を撫で続ける優に、涙は止まることを知らない。



「沙耶ちゃん?今日も早くから……って優!?」


「あ、母さん」



ガラガラと開いたドアの音とバタバタと騒がしい足音が聞こて、おばさんの驚く声が聞こえた。


は、恥ずかしい……!!


こんなところ見られちゃうなんて……!!



「……優、離して?」


「は?嫌に決まってんだろ」


「え…な、なんで……?」


「久しぶりの沙耶を離すバカがいるか」


「沙耶!?今、沙耶って言った!?」



病室に穂南さんの声が響いたと思ったら、勢いよく後ろに引かれた。



「んだよ。うっせーな。それより沙耶を返せ」


「嫌よ。それより沙耶ちゃん!良かったね!!」


「ぼなみざん〜……」



泣きすぎて穂南さんの名前すらちゃんと言えない。