君についた10のウソ

「いっ………!!」



優の手を握りながら寝てしまったらしいあたしはその声と、優の手が抜ける感覚で目を覚ました。


優を見ると、頭が痛いのか頭をおさえている。



「………沙耶…」



そして優はなぜか、あたしの名前を呼んだんだ。


そのあと優は目をつむった。


たったの数秒。


だけどそれがなにかを変えたのか、優はあの頃のように。



「…沙耶……今までごめん」



落ち着いた様子でそう言った。



「え……?優、今……」


「…全部思い出した」


「全部って、全部……?」


「おう。お前のこと」



これは、夢なのだろうか。


あたしに都合のいい夢なのだろうか。


本当はあたしはまだ寝ているんじゃないのか。


そう思って頬をつねると普通に痛かった。



「夢じゃねーよ。バカ」


「優……」



ふわっと笑って優はあたしの頭を撫でる。


その手はやけに優しくて。


あたしの涙を誘導する。