君についた10のウソ

「じゃっじゃあ…俺のことも、梓ちゃんのことも……」


「みんなのことは………覚えてるの」


「え…?だって沙耶のこと覚えてないんじゃ……?」



そうだよ。あたしのこと覚えてないよ。


でもそれは違うの。



「優はね?…あたしのことは覚えてないんだ」



あたしのこと“は”ね。



「それって……」


「あたしだけ、優の世界から消えたってことだよ」


「………っ」



透くんの息をのむ音が聞こえる。



そりゃそうだよね。


急にこんなこと言われて、驚かない人なんていない。



「優に彼女だってことは言ったんだよね?」


「……言ってないよ」


「なんで……?」


「二人なら分かるでしょ…?優の性格からして、言うことなんてできないよ…」


「でも……!!」


「いいの。……あたしが決めたことだから。優が思い出すまでは、あたしは友達として優に接する」



確かな意志を持って。

梓と透くんの目を順番に見る。



もう決めたから。


一度決めたことは貫き通すよ。