君についた10のウソ




「…んっ………」



目を開けると、そこには白い天井があった。


あの事故のときと同じ。ここは病院だ。



さっきのはなんだったんだ…?


あの場所といい、あのジジイといい。


てか俺の記憶は!?


急いで飛び起きると、手に温もりを感じた。



問題の、結果発表……


恐る恐る目を向ける。



「もと、き……?」



俺の手を握りながら寝ている本木の姿を捉えてホッと息を吐くと、次の瞬間頭に痛みが走った。



「いっ………!!」



思わず本木の握っている手も引っこ抜いて頭をおさえる。


なんだこれ…めちゃくちゃいてぇ……




「ん……優………?」



俺が手を抜いたことで気がついたのか本木が起きる。



「………沙耶…」



本木が目を丸くする。


なんで、今、俺は沙耶って……



〈5秒目をつむるんじゃ。そうすれば理由が分かるぞい〉



分からない。分からないけどジジイの声が聞こえた気がして一度、目をつむる。


5秒後、目を開いたときには。


忘れたものがすべて。


俺のもとへ帰ってきていた。