君についた10のウソ

優はチラリとあたしを一瞥する。


ホッと息をついて、優のもとへ足を進める。



「……なにしにきたんだよ」



優のいつもより低い声はあたしをビクつかせる。



「優、あのね……」


「ウソつきの話なんかききたくねーよ」



プイッと顔を背ける優。


…ウソは、こんなにも人を傷つけるんだ。


あたしは優に最低なことをした。



「……桃菜ちゃんは、優の彼女じゃないよ」



ごめんね。ウソつきで。


でも、あたしはまだウソつきでいないといけない。



「優には、彼女は……いなかった」


「……どうせそれもウソなんだろ」



蚊の鳴くような声でそう言う優は、信じることが怖いのだろう。


今までのウソがバレたとき、あたしは優と、二度と話せなくなるかもしれないね。


だけど、あたしはそれでもいいよ。


きっとそれは、たくさんの人を傷つけたあたしへの、神様からの罰だから。



「これは本当。優に、彼女はいない」



優、お願い。


これもウソだけど、優を傷つけたウソだけど。


信じてください。