君についた10のウソ

「透くんも……ごめんね」


「沙耶ちゃんが謝ることじゃないよ」


「ううん。でもありがとう。……梓、もう大丈夫?屋上入るよ?」


「うっ……うん…」



泣いている梓の肩を抱きかかえるようにして屋上へと足を踏み入れる。


そしてそのままフェンスの近くまで行って腰をおろした。



少し肌寒いけど、話すのにはちょうどいい。



「二人とも、優の目が覚めたことは知ってるよね…?」



コクリと頷く二人を見て緊張がどっと押し寄せてくる。


……ちゃんと全部話さなきゃ。


ウソのことも。なにもかも。



「…あのね。あたし、今彼女じゃないの」


「彼女じゃないって……?」


「優、あたしのこと覚えてないんだよ」


「は?ウソ……だろ?」



信じたくない。信じられない。


そんな表情をしている透くんに優しく微笑んで首をふる。



…あたしだって信じたくないよ。

信じたく、なかったよ。


でもね。


これが現実だから、受け入れないとダメなんだよ。