君についた10のウソ

空き教室も音楽室も屋上も。


どこにも優は見当たらない。



ーーーキーンコーン…


授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響いて、廊下から人の姿が消える。


ここで先生に捕まったらおしまいだ。


そう思った矢先、早速曲がり角で先生に鉢合わせした。



「君!もう授業が始まってるぞ!!教室に戻りなさい」



ま、マズイ……


でも見るとその先生は肥満体型のおデブ先生。


これなら、イケる……!!


さっと横によけて全力ダッシュをする。



「お、おい!!待ちなさい!!」



後ろでなにやら叫ぶ声が聞こえるけど無視。


優、優……!!



走り続けてたどり着いた場所はあの階段の近く。


……もうここしか残ってない。


あまり足音を立てないようにゆっくりと近づくと、ハァハァという自分の荒い息が辺りに響きわたる。


あの階段にたどり着くと、壁に寄りかかって座っている優がいた。



「…優……!」



あたしの声が階段を通って上まで通り抜ける。