君についた10のウソ

「……あたしじゃないんだよ」


「は?なにが?」


「桃菜ちゃんまっ……!!」


「優の彼女」



あたしの制止もむなしく。


桃菜ちゃんは優に本当のことを言ってしまった。



「……どういうことだよ」


「あたしがウソついてたってことだよ。優の本当の彼女は別にいるの!」


「意味わかんねーよ……」



眉をひそめている優は頭がこんがらがっているみたいで。


数秒後、ゆっくりと口を開いた。



「…お前ら、全員知ってたのかよ。なぁ?」



その質問を肯定するかのように優から目を逸らすみんな。


透くんも、北山くんも。


見えていないけど、きっと梓も。


あたしだって、優の目を見ることはできない。



「お前らみんなウソつきかよ……!!」



教室に妙な緊張感と嫌な冷たさを残して。


そのまま優は出ていった。