君についた10のウソ

「沙耶ちゃんがやってきたことは、ただの偽善だよ！！」


「ごめっ、なさ……」



泣くな、泣くなと思っても。


涙は溢れてくるばかり。


こんな簡単なこと、きっと心のどこかで分かってた。


だけど。


自分自身が自覚することなんてできなかった。


……自分のやっていることを正当化したかったから。


あたしは無意識に、そうしてた。



「沙耶ちゃんは………」


「なにやってんの？」



桃菜ちゃんがなにかを言いかけたとき、教室のドアがガラッと開いて。


わけがわからないというような顔をした優が入ってきた。


みんな優を見る。



「なんでそんなに静かなんだよ。しかも廊下なんて人だかりができてるし」



ツカツカと歩いてくる優はまだあたしが泣いていることに気づいていない。


それならば、今のうちに隠れてしまえば……



「ねぇ、優」


「んあ？城崎？ってなんで本木泣いてんの？」



桃菜ちゃんが優を呼んだことで優がこっちのほうを向いて、隠そうとしていた泣き顔も見られてしまった。


…どうしよう……っ