君についた10のウソ

「沙耶ちゃんは、ウソをつくことが正しかったと思ってる?良かったと思ってる?」



あたしの目を見て真剣に問う桃菜ちゃん。


あたしのウソは。


優についたあたしのウソは。



「正しかったと思ってる……」



多少の後ろめたさはあるけど、そう思っていないと崩れてしまう。


あたしの必死のウソが無意味なものに変貌してしまう。



「……沙耶ちゃんは、なにもわかってないんだね」


「え……?」


「沙耶ちゃんのウソで、どれだけの人が傷ついたと思ってるの?どれだけの人に辛い思いをさせたか分かってる?」


「…それは……」



分かってる、つもり。


はっきりと、断言できるわけではないけど、それは分かってるつもり。



「もちろん沙耶ちゃん自身も傷ついてるとは思うよ。だけど、それ以外にも傷ついて、苦しんで……沙耶ちゃんの近くにもいるでしょ?」



気まずくて、目を伏せる。


……いるよ。


あたしが傷つけた人。苦しめた人。


すぐ隣に。



「優だって、当てはまるんだよ?」


「………」


「記憶がなくても記憶があっても優は優。変わらない優を沙耶ちゃんは知らない間に傷つけてる」