君についた10のウソ

「“制服を着たポニーテールの女の子”。それを聞いたとき今のあたしなら当てはまるって思った。ちょうどその日は学校に用事があって制服も着てたからね」


「だから……」


「うん。あたしは優の彼女になった。ウソでもなんでも、優の彼女になれるならどうでもいいって、そう思ったから」



“恋は盲目”


きっと桃菜ちゃんはそれだ。


優のことしか見えていないあたしもなのかもしれないけど。



「優が沙耶ちゃんのことを忘れる前までは、いつも羨ましいなって思ってたの。笑っている優を見て胸が苦しくなったり、みこちんに泣きついたりもしてた」



美琴ちゃんのほうを見ると切なげに桃菜ちゃんを見ていた。



「きっと他にもそう思ってた人はいると思うよ。このクラスにも、他のクラスにも」



今ここで、静かに話を聞いているなかにも。

廊下の野次馬のなかにも。


あたしの幸せと引き換えに、苦しんでいた人がたくさんいることは分かってた。


恋において、望む位置を手に入れられる人はたった一人だから。


そこに、あたしがいたから。


桃菜ちゃんも、みんなも苦しんでいた。