君についた10のウソ

三人並んで廊下を歩いて屋上へと続く階段をのぼる。



「梓……?」



あと扉をあければもう屋上に出られる。


そんなとき、梓が急に止まった。



「沙耶ぁ……」


「え?あ、梓?どうしたの…?」



振り返った梓の目には涙がいっぱい溜まっていて。


いつも強気で泣かないからびっくりしてしまう。



「怖かったの…怖くて怖くて……」



ぎゅっとあたしに抱きついてきた梓の体は小刻みに震えていた。



「良かったよぉ……無事で、安心した…」


「うん。ごめんね」


「もう、二度とやめてよね…こんなこと……」


「…約束する」



あたしもぎゅっと力強く梓を抱きしめ返す。



きっと梓はあたしと優がいなくなっちゃうんじゃないかって思ったんだろうな…



……ごめんね。本当にごめんね。


前の関係とは違うけど、二人ともちゃんといるから。


いなくなんてならないよ。



「……俺も参加していい?」



抱き合って泣いている梓を慰めているとそんな声が聞こえて。


その方向をチラッと見ると透くんが困ったように笑っていた。