君についた10のウソ

「てか、まず、アンタ彼女じゃないじゃん」


「あたしは彼女だもん」


「ウソついて、人の彼氏奪っただけのクセに〜？」



ね、本木ちゃん、と話を振られてたじろいでしまう。


けど、あたしが返事をしないまま、木戸さんたちは話を進めた。



「それでも彼女は彼女じゃん」


「ウチらは本木ちゃんは認めても、アンタのことは認めてねーんだよ」


「クズ女なんか大山くんの彼女にふさわしくねーの」



木戸さんたちと桃菜ちゃんが話さないと廊下と校庭からの騒ぎ声しか聞こえないこの空間は、少しいづらい。


どうにかならないのかと後ろにいる梓に目配りすれば、梓は静かに首を振った。


透くんを見ても首を振るだけ。


桃菜ちゃんと仲の良かった美琴ちゃんは教室の隅のほうで心配そうに見つめている。



「クズ女は大山くんと別れたほうがいいと思う人〜？」


「「「はーい！！」」」



木戸さんの呼びかけに元気よく反応する取り巻きたち。


他の人は気まずそうに目を逸らしたり、ほんの少し手を挙げたりしている。