君についた10のウソ

なにも反応を示さない透くんに堪えきれずに涙が溢れる。



「……ふっ…うぅ………」


『……泣かないで、沙耶ちゃん』


「ごめんっ……ごめんねぇ……と、るくん………」


『……分かってるから…大丈夫……ッ』



大丈夫って言うなら、なんで泣いてるの。


あたしのせいだよね。


なにもかも、あたしが悪いんだよね。



「……透くん…ひとつ、聞いて…?」



いちばん言わなきゃいけない、大事なことを……まだ、言っていない。



「……あたし、ちゃんと向き合うよ」


『向き合うって……?』


「……透くんのことも、ちゃんと見る」


『……優のことは、いいの…?』


「もうね、消えた過去にすがりつくのは……やめにする……」



優、楽しかったよ。大好きだったよ。


今もまだ好きだけど。


消えた過去にとらわれて、未来を失うのなら。


あたしは前を向こうと思うの。


ひよりちゃんに言ったように、強い心と前を向いて生きることは大切なこと。


きっと、それならだれも傷つけない。


みんな、笑顔になれる。