君についた10のウソ

「透くん、あのね……」


『……うん…』



言おうとして、やめて、言おうとして、やめて。


口を開いたり閉じたりする。



『……沙耶ちゃん?大丈夫?』



…言わなきゃ。


嫌でも…言わなきゃ……



「……好き…」


『………』


「………」


『………』


「………」



長い長い沈黙が続く。


時間が経つにつれてだんだんと不安になる。



『それって……優の、ことが……?』



ふいに、透くんの泣いているような声でそう言った。


なんて答えるべきか。


でもたぶん、ここで違うと言っても透くんは喜ばない。


それがウソだと分かっているから。



「…………うん」



だから、あたしに否定することはできない。