君についた10のウソ

「お前が透のことちゃんと好きならなんも問題はねーよ。だからさ、今から透に電話しろ」


「…電話……?」


「そう。電話。俺に言ったって、本人に言わなきゃ意味ねーだろ」



そう言われて思わず下を向く。


そうしたら、透くんに言わなきゃいけない。


優じゃなくて透くんに“好き”と言わなきゃいけない。


ヤダ。ヤダよ。


優以外に、恋愛の意味でのその言葉を言うのは嫌だ。



「もしもし?おー」



隣で優の電話する声が聞こえた。


微かに聞こえる相手の声は、透くん。


ねぇ待ってよ。


あたしの気持ちは無視?



「じゃあ本木に代わるわ」



……代わらなくていい。

……代わりたくない。



「ん。本木」



差し出される優のスマホを今すぐつきかえしたい。


だって受け取ったら言わなければいけない。


無理だよ。できないよ。



「……あり、が…とう………」



嫌だけど、スマホを壊してしまいたいほどに嫌だけど。


あたしは震える手でスマホを受け取った。