君についた10のウソ

「…優…あのね、」



意を決して話しかける。


きっとこれで、今まで通り、仲のいい友達でいられるだろう。



「あたし……」


「………?」



“好き”


二文字口にすれば終わるのに、口が重くて、重くて重くて。



「す……す………」


「す、の続きは…?」



鼓動が早くなって、手と肩に力がはいる。



「…好き、だよ……」


「それって、透のことだよな?…よかった」



あたしが“透くんのことが”と言わなかったのは、言えなかったから。


それに、名前を挙げなければ。


優に伝えているようになるから。

あたしの中では、優への告白に変わるから。



透くんへの“好き”は優への“好き”とは違うもの。


言葉は同じでも、重要さも、なにもかもが違う。



優への“好き”が違う“好き”になって。


透くんへの“好き”も違う“好き”になって欲しい。


そうすれば与える苦しみも、もらう苦しみも減って、減って…。


いつかないものに変わる。


そんな、気がするんだ。