君についた10のウソ

「………」


「………」



ふたりで歩く帰り道はお互い無言で。


前のみたいに楽しそうな雰囲気なんてまったくない。


隣を歩く優との距離は約50センチ。


きっと、心の距離はそれ以上。




ねぇ、優。


今の優との関係を保つために、前の優を裏切ってもいい…?


もし、あたしが透くんが好きだと伝えたら。


今の優は喜ぶ。

前の優は、どうする?



もう過去にすがるのは終わりなのかもしれない。


そのときがきたのかもしれない。


今を守れば、この先、優との関係は途切れることはない。


優が記憶を取り戻しても、関係は途切れないだろう。



優の手を握るのも。

優とキスをするのも。


もう二度と、永遠にできないのかもしれないけど。


優のそばにいられるのなら、他にはなにもいらないの。


優が欲しいと、この手を伸ばすことも我慢できるの。きっと。きっと。



優と笑顔でいられるように。


透くんと、向き合うよ。

頑張って、向き合うよ。



頑張って頑張って頑張りぬいても。

それでも優のことを忘れられなかったときは、もう一度、この恋を捧げよう。


あたしの気持ちをたんと詰め込んで。