だんまりになってしまったあたしに透くんが質問を変える。
「じゃあさ、俺のこと、好き?」
「……うん」
…友達として、ね……
ひとりの友達として、大好きだよ。
だけど。
ひとりの異性として、好きだとは思えない。
「…“うん”って言うなら、“好き”って言って……?」
消えてしまってもおかしくない声でそう言った透くんに。
それだけは言えないと、思わず目をそらしてしまう。
“好き”と伝えていい相手は優だけだから。
どうしても、それは言えない。
沈黙に耐えられなくなったのか、透くんが口を開く。
「……ごめんね。困らせて」
「悪いのは、あたしだから……」
「大丈夫。分かってるよ」
そう言い残して透くんは教室を出て行ってしまう。
……分かってるって、どういう意味?
あたしがまだ優のことを好きなこと?
あたしが透くんのことを好きじゃないこと?
あたしが悪いこと?
きっとすべて。
全部全部、透くんは分かってる。
ただその事実を言葉にしないだけで。
言葉にすると、あたしが傷つくと思っているから。
自分自身も傷つけると理解しているから。
逆にその優しさがあたしを傷つけて苦しめる。罪悪感にさいなまれる。
だれかひとりを大切にすれば、他のだれかが傷つく。
あたしたちの間ではその悪い連鎖がとまりかたを知らずに、ドミノのように続いている。
「じゃあさ、俺のこと、好き?」
「……うん」
…友達として、ね……
ひとりの友達として、大好きだよ。
だけど。
ひとりの異性として、好きだとは思えない。
「…“うん”って言うなら、“好き”って言って……?」
消えてしまってもおかしくない声でそう言った透くんに。
それだけは言えないと、思わず目をそらしてしまう。
“好き”と伝えていい相手は優だけだから。
どうしても、それは言えない。
沈黙に耐えられなくなったのか、透くんが口を開く。
「……ごめんね。困らせて」
「悪いのは、あたしだから……」
「大丈夫。分かってるよ」
そう言い残して透くんは教室を出て行ってしまう。
……分かってるって、どういう意味?
あたしがまだ優のことを好きなこと?
あたしが透くんのことを好きじゃないこと?
あたしが悪いこと?
きっとすべて。
全部全部、透くんは分かってる。
ただその事実を言葉にしないだけで。
言葉にすると、あたしが傷つくと思っているから。
自分自身も傷つけると理解しているから。
逆にその優しさがあたしを傷つけて苦しめる。罪悪感にさいなまれる。
だれかひとりを大切にすれば、他のだれかが傷つく。
あたしたちの間ではその悪い連鎖がとまりかたを知らずに、ドミノのように続いている。

