君についた10のウソ

「おう。あとこれ、プレゼント」


「…プレゼント……?」



ポケットから出された小さな紙袋。


あたしに渡されたそれは手のひらに収まるくらいのサイズだ。



「開けてもいい…?」


「ん」



ゆっくり、丁寧にシールをはがす。


中からでてきたものは……



「ブレスレット……?」



ピンク色のブレスレット。


素直に嬉しい。


でも、どうしてプレゼントなんて…



「クリスマスだから?」


「あ?なにが?」


「プレゼントをくれた理由」


「ちげーよ。なんか、お前にはあげないとって思ったんだよ。てかこれ理由になってねーな」



…バカ……


そんなこと言われたら。

こんなことされたら。


……意味のない期待をしちゃうじゃん。



「…大切にするね」


「当たり前だろ。俺があげたんだから」


「なに威張ってるの」


「俺だからな。じゃ、これから透んとこ行くから。またな」


「そうなの?じゃあバイバイ」



優と別れてすぐに家には入らず、こっそりと小さくなっていく背中を見送る。



優からもらったプレゼントは全部つけないようにしていたけど、今日もらったものはつけてもいいよね?


もらいたてのブレスレットを右手首につけてみる。


ーーーいつか、この時が懐かしいと笑える日がきますように。


そう、ブレスレットに願いを込めた。