君についた10のウソ

次の日。



「行ってきます」



さすがに無傷のあたしが何日も学校を休むのはマズいと思って行くことにした。


優はあと一週間は入院って先生が昨日言ってたからまだ学校には来ない。



中3の春に優と付き合い始めて以来、初めてひとりぼっちで登校する。


優はなにがあっても学校を休まなかったから、あたしたちはずっとふたりでこの道を歩いて通った。



高2の秋。久しぶりのひとりぼっち。


昔はそうだったはずなのに。

今となってはあたしの左側がぽっかりとしていてもの寂しい。



「はは……」



ひとりで笑って気分を上げようとしてもそれも無意味で。


優のいない通学路はすべてがセピア色に見える。



……涙が、出そう。



ぐっとこらえて上を向く。



ダメだよ。泣いたら。


誰かに見られちゃうかもしれない。



それに。それにね。


きっと優にバレちゃうと思うんだ。


どこかであたしのことを見ている気がして。



そこにある花も電柱も鳥たちも。


すべてが優とつながっているように思えるから。


ここで泣いたらきっと優に伝わってしまう。



でも。


優とつながっていると思っていると、不思議と色が戻ってきた。


セピア色だった景色に、鮮やかな色が。