君についた10のウソ

「…透くん、それは………」


「本当のことだからね?もう逃げないって決めたから」



耳元で聞こえる透くんの声は真剣そのもの。


投げ出された傘に溜まる雨。



「…でも、」


「俺のこと、好きじゃないことくらい知ってる。友達止まりだってことも分かってる。……だけど、必ず救ってみせるから」



力強い透くんの言葉になにも言えなくなってしまう。



「時間はかかるかもしれないけど、絶対に好きにさせる。…沙耶ちゃんが傷つくように、俺だって傷ついてきたんだよ」


「ごめんっ……」


「こんなこと言うのは卑怯だけど、俺は卑怯だってなんだっていい。沙耶ちゃんと付き合えるのなら、鬼にだって悪魔にだってなってみせる」


「………っ」


「だからお願い。……俺と、付き合ってください」



耳にかかる透くんの吐息。


ごめんなさい。気づかなくて。

ごめんなさい。傷つけて。


あたしが傷つけた透くんにできる償いはただひとつ。


他に方法なんてない。



「………いい、よ…」



付き合うことでしか、透くんの傷を癒すことはできないんだから。