君についた10のウソ

「夢くらい……見せてくれれば、いいのに……」


「あ、え、えっと……」



ワンワンと子どものように泣くあたしに透くんはかける言葉を探している。



「振ったら桃菜ちゃんがっ…傷つくんだって……あたしのことは…傷つけてもいいの……？」


「……沙耶ちゃん、落ち着いて？」


「雨なんか、大っ嫌いだ……！！」



あの日も雨。今日も雨。


雨はあたしに苦しみしか与えない。


そんな雨は、この世から消えてしまえばいいのに。



そう思ったとき、やんでいた雨がまた降り出した。


さっきよりも強くなった雨があたしを打ちつける。

けど。



「……透、くん…？」



今度は暖かいものがあたしを抱きしめていた。


背中まで回っている透くんの腕。

逆さまで地面に落ちている透くんの傘。



「沙耶ちゃん、そんなに苦しいなら……俺と付き合って」


「え……？」



透くんはなにを言っているの…？



「ずっと前から、初めて会った日から……沙耶ちゃんのことが好きだった。優がいるって分かってても好きだった」



………っ！！


ウソ、だよ……ね…？