君についた10のウソ

突然、パッと雨がやんだ。


驚いて周りを見ると相変わらず雨は降っていて。


上を見れば透明な傘の向こうにこちらへ向かって降りかかろうとする雨が見えた。



「だれ……?」



怖い気持ちを我慢して後ろを向く。



「メリクリ。沙耶ちゃん」


「……透くん」


「傘ささないと濡れちゃうよ」



風邪ひいちゃう、と焦る透くん。


風邪、かぁ……



「そのまま熱にうなされて、死んじゃってもいいな……」


「え?沙耶、ちゃん……?」


「いっそのこと死んだほうがマシだと思わない?ねぇ、透くん」



今日のあたしはどうかしてる。


死にたいなんて思ったことなんてない。


でも、死んでしまってもいい、そう思っている。



「優ね、別れるつもりないんだって」



怪訝そうな表情を浮かべながらなにかを言おうとする透くんをさえぎって話し続ける。



「桃菜ちゃんのこと好きじゃないのに、振られるまで別れないんだってぇ……っ」



透くんの傘の下で泣き崩れるあたし。


周りの人にはどんな風に見られているのだろうか。