君についた10のウソ

もうケーキを買うお金もないし、早く帰ろう。


外へ出るとまだ雨は降っていなくて。


ケーキ屋さんの前を通り過ぎようとしたとき、ポケットに入れておいたスマホが震えだした。


お母さんからの遅い!という、文句の電話だと思い名前も見ずに耳に当てる。



「お母さん?今からかえ………」


『お母さんじゃねーよ。俺だ』



この声は、聞き間違えじゃなければ彼のはず。


でも今日はクリスマスイブ。


あの彼女と過ごしているはずだから、電話なんてくるわけがない。



「………はい?」


『はい?じゃねーよ。おい』


「え、ゆ、優…?」


『そうだよ』



聞き間違えじゃなかった……


でも桃菜ちゃんは?一緒じゃないの?


一緒なら電話なんてかけてこれないよね?



「桃菜ちゃんは…?」


『アイツ、インフル』



インフルという答えに拍子抜けする。


さすがにインフルエンザじゃ、一緒には過ごせないよね。


優にもうつってしまう。