君についた10のウソ

ひよりちゃんは手をパンパンしてキャッキャと楽しそうにしている。



「…ひよりちゃん、ときとぎあるんですよ。こういうこと」


「それって…」


「ここがママとパパとの思い出の場所らしくて、探しに行っちゃうんです。探しても、会えることはないんですけどね」


「そうですか…」



一人で遊んでいるひよりちゃんを眉をさげて見つめるゆりこさん。


さっき大丈夫なんて言ってしまったけど、勝手なことを言っちゃったなぁ…と後悔する。



「…ひよりちゃん」



ひよりちゃんに目線を合わせて名前を呼ぶ。



「なぁに?しゃーちゃん」


「ひよりちゃんのママとパパはきっと、どんなときでもひよりちゃんの側にいるよ」


「ほんと!?」


「うん。だからね、なにがあっても強い心を持って、前を向いていてね」



強い心も前を向くことも。

とってもとっても大切なこと。


だけど、それ以上に難しいこと。


あたしには……できない、できなかったこと。



「なにそれぇ?」


「いつかきっと分かるよ」


「ほんとに?」


「…絶対に」



いつかね、ひよりちゃんもママとパパがいないという事実を理解するときがくる。


たぶん、そのときがひよりちゃんの心の強さの試しどころだと思うんだ。