君についた10のウソ

「そ。ならいい」



疑いもない返事にホッとする。


うまくいった……



「あら、優。起きてたのね」


「母さん」



ガラッと開いたドアから入ってきたおばさん。


あとに続いておじさんと穂南さんも入ってくる。


あたしのところで止まった穂南さんが小声で話しかけてきて。



「沙耶ちゃん。今日はもう帰って平気だよ。精神的にも疲れたでしょ…?」


「……でも」


「大丈夫。……沙耶ちゃん、お父さんもお母さんもわたしも。みんな信じてるからね。記憶がなくたって、二人はまた元に戻れるってみんな信じてるからね」



笑って話しかけてくれる穂南さん。


ありがとうございます。こんなに思われて、あたしは幸せ者です。



「あたしも……信じて頑張ります」


「うん。じゃあ今日はもう帰りなよ?」



コクリと頷くだけ頷いて優を見る。


おばさんとおじさんと笑顔で話していて。


……こっそり帰ろう。邪魔したら悪いもん。



「穂南さん。お邪魔しました」


「バイバイ」



あたしはひとりで病室をあとにした。