君についた10のウソ

手に持っていたスマホがブルブルと震える。


……電話がきた。



「もしもし。優?」


『おう。今平気だったか?』


「うん。平気だよ」



平気は平気だけど。


あたしの心臓が大丈夫じゃないかもしれない。


顔がニヤけて、これでもかってくらい速く心臓が脈を打つ。



「それで?話って?なにかあったの?」


『なにかあったっていうか…』



それっきり無言になってしまう優。


一階から両親の笑い声が聞こえてくる。



「優……?」


『あっ、悪い。それで、話なんだけど……今日のクッキー…』


「クッキー?クッキーがどうかした?」



クッキーについてだなんて思ってもみなかった。


作り方でも聞きたいのかな…?



『あのクッキーさ、俺に作ったりしたこと、ある?』


「え、いや……それは…」



本当のことを言うべきか。

ウソのことを言うべきか。



「………ある、よ」



悩んだ挙句、本当のことを伝えた。



『やっぱり……』


「え……?」



やっぱり…?


やっぱりって、どういうこと?


だって優は、あたしのことを忘れているのに。