君についた10のウソ

「ありがと〜!!」



細い指でクッキーをつまみ口に放り込む桃菜ちゃん。



「ど、どう……?」


「美味しいよ!すっごく!!」


「ほんと…?ありがとう!」



笑って美味しいと言ってくれる桃菜ちゃんはやっぱり。やっぱりね。


悪い子なんかじゃない。


少し怖いかもしれないけど、全然悪い子なんかじゃないよ。



「もしよかったらもっと食べてね?」


「うんっ!!」



パクパク食べだす桃菜ちゃん、プラス優と透くん。


ふふっ嬉しいなぁ。



「……まったく…」


「梓は嫌でも、あたしは嫌じゃないもん」


「沙耶ってほんとバカね。それがいいところでもあるんだけど」



しかたない、と笑う梓。


梓って……



「なんだかんだ甘いよね」


「辛口がいい?」


「……甘口がいいです」



梓がツンデレなのはもう分かってるけど。


あたしが梓のことを分かってるのと同様に、梓もあたしのことを分かってくれていると思うの。


あたしはね、優も梓も透くんも。


みんなみんな、大好きなんだ。