君についた10のウソ

少し。少しといってもほんとにほんとに少しだけだけど。

希望が見えた。



「ねぇ優、なんで朝クッキーの話ししてたときにあんな顔してたの?」



気になったことを聞いてみる。


もしかしたら、これも重要なことなのかもしれない。



「あー…あれか。城崎、最近変だろ?あからさまに俺を他の女子から遠ざけたがる」


「なに。気づいてたわけ?」


「さすがに気づくだろ。だから、城崎がいないときじゃないとマズイかと思ったんだよ」



なんだ……


そういうことだったんだ……


ちょっと期待しちゃったな……なんて。



「あーっ!優!!なにしてるの?」



昼休みで騒がしい教室にも関わらず、よく聞こえた桃菜ちゃんの声。


数秒後、あたしと優の間に桃菜ちゃんが割り込んでいた。


梓が小さく舌打ちする。



「なにこれ。クッキー?」


「…うん。作ってきたんだよ」


「もらってもいい?」



なにも言わずにそっとタッパを差し出す。


いろんな人に食べてもらいたいし、あげたっていいよね…?