君についた10のウソ

透くんの頭上あたりまで上ったクッキーは、パクッと他の人の口へ吸い込まれていった。



「お、うめーじゃん」



ゴクリと優がクッキーを飲み込む。


透くんの言葉よりも、梓のニコニコ顔よりも。

……なによりも嬉しい。



「ゆ、優!?もう、びっくりさせないでよ……」


「わりーわりーなんか面白そうだったからな、お前の反応!期待通りだったぞ」


「うるさいよ。ぷぅ」


「うっわぁ…気持ち悪い」



ぷぅ、言いながらわざとらしく口を膨らませる透くん。


いや、わざとじゃなかったら困る。さすがにそれは困る。



「透やめなさいよ。吐き気がする。城崎桃菜は?」


「ひっど!優も梓ちゃんもひっどい!!」


「知らね。先生に呼ばれたとかなんとかでどっか行った」


「え、無視!?無視とかさらに傷つくよ!?」


「「透黙れ」」



ふたりの言葉に透くんはあえなく撃沈する。


そんな透くんよりも気になることがあるの。



「あんた彼氏でしょ?」


「んなの、知らねーよ」


「え?」


「俺自身よく分かんねーんだよ」



優って、もしかして、桃菜ちゃんのこと好きじゃない…?


好きになったと思ってたけど、それってあたしのただの勘違い?