「もしあいつが殺したんなら俺もあいつをぶっ殺してやる!」


そう言いながら腕を回して立ち上がるあらんをたかしが必死に抑えるが……


たかしに止められるわけもなく。


「冗談はよせ、そんなことしたらお前も一緒になるぞ?」


賢斗は意外にちゃんと考えている。


「ああ?なんだとテメェ。俺が何しようがテメェに関係ねぇだろこら。」


なんでそうも喧嘩口調で喋るかなぁ。


「あらん落ち着いてって。どうせ殺せないんでしょ?春香に言われた今あらんが友達を殺すなんて思えない。」


そう言うとむすっとした様子で椅子に座った。


ほーらね。と得意げな表情であらんの方を向くと本気で睨まれた。


「そ、そんなことよりも校舎に入る前に殺されたりしたらどうするんだ…。急いで逃げても追いかけてくるかも知れないぞ。」


たかしがメガネをくいくいっと上げながらみんなを見渡すけどこのメンバーで答えが出ることなんて一生ないと思う。


たかしが分からないのに他の人がわかるわけないんだから。


「たかし、なんとかいい作戦考えて!お願い!私たちじゃ絶対無理っしょ。」


そう言うとたかしも苦笑した。


「ああ…たしかに無理そうだな。」


「なんだとガリ勉!!そんなこと言うならあと1時間で作戦思いつけよな。」


あらんの言ってることはいつもに増してめちゃくちゃだ。


そういったと思ったら勝手に人の家のソファでぐーぐーと言いながら寝てしまった。


「ほんとに呑気なやつだな。」


賢斗も呆れた様子であらんの方を見るけど以前みたいに賢斗から喧嘩をふっかけていくことはほとんどなくなった。


それだけ成長したってことかな?


それからたしかは1人でメモを取りながらぶつぶつと口に出して作戦を考えている様子で。


心愛はずっとスマホをしながら髪の毛の手入れ。


なんのためにここにきたのかわからないくらいだ。


もう帰ってくれてもいいんだけど…。


なんて呼んだ私が言えるわけでもないしね。まだ作戦も考えついてないわけだし。