「え、ちょっ――」


「ハル?」


戸惑う俺に、一部始終を見ていたリノが声をかける。


「あはは。何だろうね、さっきの」


誤魔化し切れないと思いつつも、とぼけるようにさっきの笑顔をリノに向けた。


「デート、でしょ。デートに誘われたんだよ」


「いやー……そんなことは――」


「今日放課後、そこの門で」


うわぁ、丸暗記。


「っっ……。でも今日はリノと帰る日だ! だから断るから!」


明日で良いよ、と彼女は言う。



嫉妬とは違う、少し怖い顔をしていたのは俺の気のせいか。