*唯夏side*



――彼女に感情という物はあるのだろうか。


っていうか、初対面なのに何でユカって呼ぶわけ。


馴れ馴れしすぎないか。


俺がこの子と付き合うって?


冗談じゃない。


俺は別に軽いわけじゃない。


好きな子しか彼女にしないし、現に今、

いきなりカナに振られてショックを受けているのだ。



「えーっと……。ごめん、君とは付き合えな――」


「じゃあ、唯夏、また明日」


んん?


「えっ、ちょ、まっ――」


身を翻してスタスタと歩き去って行く彼女。


秋濱冬音って言った?


あの子、少し、いや、かなりおかしくないか?